風謡いの聖典:アイオーメディの御業

我々は神の智慧から多くを学ぶことが出来るが、同じくらい多くのことを、神の行動からも学ぶことが出来る。真に信仰心ある者は、神そのものですらも過ちを起こすことがあり、言葉や予言は常に十分ではないことを理解している。人の中で神に過ちを見出さないものは熱狂的な信者にも劣り、操り人形にも劣る。彼らは盲目的な健診によってまさに信仰の考えを穢している。神が過ちを行う際、その信者が間違いを理解しないなら、結果はより破滅的になる。もし信者が間違いを福音として受け取るおんであれば、彼らは過ちを何度も繰り返す宿命となり、それを何度も繰り返す。そうする過程において、最初の過ちはより大きなものになる。最悪の場合には、これらの繰り返される過ちが新たな秩序になり、神々ですらそれを戻すことが出来なくなる。

アイオーメディはこれをよく知っている。というのも、彼女はそう長くない昔、神を信じる者の一員だったからである。

昇神前、アイオーメディは人類の神であるエイローデンの伝令者ヘラルドであるアラズニを信仰していた。アラズニが輝ける十字軍の途中で敗北した際、アイオーメディはエイローデンへと信仰を変えた。アイオーメディその人がパラディンの道を選んだことは、彼女の信念の強さを示唆していた。というのも、アラズニは特に法の構造を作るのに関わらなかったし、エイローデンは特に善良な行いを称揚していたわけではなかったからである。しかし、アイオーメディはアラズニの行いに伝統と名誉への献身を見出し、たとえエイローデンが気付いていなかったにせよ、エイローデンの行いの下に横たわる親切さと寛容さを感じ取っていた。

彼女自身が神へと昇った後ですらも、彼女はエイローデンの新たな伝令者ヘラルドとして仕え続け、人類の神が失われし神託の時代の始まりに、予想されず消えた際も、アイオーメディは最後の希望を失わなかった。続く数十年間、アイオーメディの信仰は増え、彼女はエイローデンの外套を継承した。そして彼女の教会が増えるにつれて、彼女は自らの言葉を聞く者達に自らの智慧を広めていった。彼女は信者達に自らの過ちを繰り返さないように教えた。自分が道を踏み誤った際には、自らの目で見て判断をし、自分の過ちを福音として受け取らないようにと。アイオーメディは神格化される以前からすら、尊崇する神々の不完全さに気付いていた。そして、女神として彼女は自ら、同じような揺るぎない熱狂を奨励しないと誓った。そして、彼女は自分を信仰する者達に、単に自らの言葉からだけでなく、行いからも学ぶようにと命じた。

最初の御業は、ラマシュトゥによって生みされ、捨てられた貪欲な怪物、伝説のナコルショルモンとの忘れがたき衝突である。この貪欲な怪物は彼女の冒険グループのメンバー達を食らった。そしてアイオーメディはこのフィーンドの超常的な食道から、永遠の眠りに落ちずにすむように仲間達を切り出して自由にしたのである。

次の偉業はセンゴールの都市を脅かしていたガルーンド人の魔女団、蒼白なる姉妹を打ち負かしたことである。ここで、アイオーメディは刃を抜くことすらなく、言葉と交渉だけを巧みに使うことによって勝利を達成した。

これらの最初の偉業の最後は、輝ける十字軍の前に鋼鉄のガーゴイルであるセグラッケンを打ち負かしたことである。セグラッケンは自分をバロウッドの王であると主張していた。アイオーメディはグリフォンに載って戦い、『王』を、いわば、玉座から空中に放り出した。

輝ける十字軍が始まったのは、鋼鉄のガーゴイルが倒されてから程なくしてのことだった。そして、アイオーメディは最初から、戦いの最前線にいた。エンカルタンでの第二の戦いの間、アイオーメディは負傷した定命の騎士達を指揮し、援軍が夜明けに到着するまでレイスの波を抑え、彼女の名声は大きくなった。

エルム=ヘルというモーグの君主が、十字軍の間の彼女の次の大きな勝利であった――アイオーメディは三つの悲哀の戦いバトル・オブ・スリー・ソロウズで彼を打ち負かした。彼女はこの強力なアンデッドの怪物を殺すことは出来なかったが、いずれにせよ、ダークランドへと退却せしめ、その過程で囁きの大帝の最も悪名高く、おそれられた将軍の1人に対して強烈な一撃をくわえた。

そのすぐ後、囁きの大帝はアイオーメディに向かってきて彼女の魔法の剣を砕いた。アイオーメディはそれによって立ち止まることはなく、単純にそれを接ぎ合わせて戦いを続けた。彼女は、自分に悪に立ち向かう力を与えているのは剣ではないことを知っていたのである――剣は、悪に立ち向かうための道具に過ぎなかった。

輝ける十字軍が集結した一か月後、アイオーメディは数人の十字軍の退役兵達と共にアブサロムを訪れた。彼女がエイローデンの神殿に訪れることによって、エイローデンその人のためのものよりも、彼女の行いのための礼拝が多くなった。しかし、彼女が去ってから一か月後、同じ神殿に彼女のイメージが現れて別の奇跡が起きた。それは、貧しい者を癒し、悪しき者を退けた……その悪しき者には、秘密裏にアスモデウスのカルトと共謀して、信仰の揺らいだ者を改宗させていた、エイローデンの偽りの司祭が含まれていた。

輝ける十字軍は終わったが、タル=バフォンのために戦った者の多くが残されていた。戦いが終わってから、アイオーメディはいまだはびこっているそういった者どもを捜し、裁こうとした。この時代での彼女の最も偉大な行いは、黒の王子としてのみ知られるグレイヴナイトの償いだった。彼女の許しで、彼は自らの邪悪さを償った。彼女は彼のアンデッドとしての生に終止符を打ち、審判のためにその魂が旅立つのを許したのだ。

ウースタラヴのどこか他の場所で、アイオーメディは十字軍の間に教会への熱意を失った9人の心弱き騎士達の話を聞いた。彼らは、破門された直後に行方不明になったというのである。彼女は彼らを見つけ出し、身代として自らの9滴の血を用いてヴァンパイアの魔法使いバシロフから彼らを自由にした。彼女はその直後にこのヴァンパイアを殺すことを強いられたが、騎士達の助けを借りて、彼らを無事に教会へ戻らせたのである。

その後すぐに、カンタリア市でのアイオーメディの統治が始まったが、それは一年と一日しか続かなかった。彼女は長い間、統治をするつもりはなかった――正当なる統治者が取って代わることが出来るように、不吉な変身生物から都市を守る間だけ、統治をしたのである。

最後の十一番目の偉業――それによって彼女は人間としての命を終え、女神としての人生を始めることになった。アイオーメディは星石の聖堂スターストーン・カテドラルを囲む竪穴に外套を敷いて、この衣を橋に変えたのである。その橋の上を通って、彼女は裂け目を横切り、星石の試練テスト・オブ・スターストーンを受けるために建物に入った。

今日、信者達はこれらの十一個の御業をアイオーメディの御業と呼ぶ。アイオーメディは詳細ではなく教えこそが重要であることをはっきりさせており、信仰からくる信念により、大衆は広くこれを理解している。だが、信仰と称賛の興奮の中で見誤りそうになるのは、アイオーメディは十一の英雄の偉業を成し遂げるために、最初の行いを始めたのではないということである。実際のところ、アイオーメディは家族や友人、あるいは神々の一人といった尊敬する人々の失敗から学ぶために、それらを試みたのである。


作者について
James Jacobsはパスファインダーのクリエイティブ・ディレクターである。彼はゴラリオンの想像の始まりに立ち会ったが、この世界の英雄と悪党によって信仰されている神格の多くは既に何十年も前から存在していた。デズナやロヴァガグ、サーレンレイにアーバダー、アチャケクとゾン=クーソンのような神々は80年代後半と90年代初期のJamesのホーム・キャンペーンでPC達やNPC達の間で最初に信仰されていた。それらをパスファインダー世界の神格として共有し、プレイヤーやクリエイター達がその神々を好きになったり、嫌いになったり(あるいは神々のコスプレをしたり)したことが、経歴のハイライトである。

風謡いの聖典について
ヴァリシアのロスト・コーストの北端にある風謡いの修道院は、20近くの異なる信仰を持つ司祭達によって維持されている、信仰間の議論をするための場所で、仮面の修道院長によって率いられている。失われし神託の時代の始まりに、風謡いの修道院はその信者の戦いと逃亡という苦難を経験したが、今日では再興し始めている。新しい仮面の修道院長は新たな聴衆を導き、風謡いの聖典―神々そのものの寓話―が再び、修道院の壁に記録され始めた。これらの聖典の中には、ゴラリオンの神話や伝説として示されている者もある。真実もあるかもしれないが、偽りもあるだろう。どれが真実でどれが偽りであるかは、信者が決めることになっている。

公式ブログ


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